
五行の金
秋の澄んだ空気と、研ぎ澄まされた刃
『書経』は金を「従革」と書きます。金属は火にかけると溶けて型に従い、冷えれば固く引き締まる。刀や鍬、鐘のように、鍛えられて形になるものが金の領分です。季節は秋、実りを刈り取り、木々が葉を落としていく時期。方角は西、色は白です。四神で西を守るのは白虎、季節の言葉では秋を「白秋」と呼び、詩人の北原白秋の号もここから取られています。
十干の庚(かのえ)と辛(かのと)が金です。「か」は金(かね)を表し、庚は陽の金で刀や鉄のかたまり、辛は陰の金で宝石や細工物にたとえられます。十二支では申と酉が金で、申月・酉月はおおよそ8月初めから10月初め、残暑から秋の長雨のころまで。さる年・とり年生まれは年の支が金ですが、年柱は生まれ年を示す一本の柱で、命式全体の金の量とは別の話です。
対応表
| 五行 | 季節 | 方角 | 色 | 十干 | 十二支 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金 | 秋 | 西 | 白 | 庚辛 | 申酉さる、とり |
伝統的な性格のイメージ
伝統的には、金は「義」と結びつき、筋を通し、白黒をはっきりつける性質とされます。今の場面に移すと、会議で論点がぼやけてきたとき「で、結論は?」と切り出す人、割り勘の端数をきっちり計算する人、引き受けられない仕事はその場で断れる人。決断が早く、線引きもはっきりしています。刃物と同じで切れ味がよいぶん言葉が鋭く届きやすく、自分にも他人にも基準が厳しくなりがちだと見られます。
相生と相剋
土は金を生じます。鉱脈は土の奥で長い年月をかけて育つと考えられました。金は水を生じます。冷えた金属の表面に水滴がつく様子や、岩の割れ目から清水がわき出る様子が、そのたとえとして語られてきました。火は金を剋します。鉄は炉で熱せられて初めて打ち延ばせます。金は木を剋します。のこぎりやはさみが木を切り、形を整えます。金にとって火は手ごわい相手ですが、火がなければ刀にも鍋にもなれない、というのが剋の考え方です。
命式の中の金
金が多い
天干に庚・辛、地支に申・酉が重なると、金が多い命式になります。伝統的には、決断力があり、ルールや筋道を大事にし、やると決めたら手を抜かない人と読まれます。金が多すぎると、言葉がきつく響いたり、妥協が苦手になったりするという見方もあります。日干が木なら金は重圧、日干が水なら金は支えと、日干しだいで読み方が逆になることもあります。
金がない
天干に庚・辛がなく、地支の本気にも申・酉がない命式では、金がないと表示されます。それでも蔵干を見ると、巳に庚、丑と戌に辛が入っていて、表から見えないだけのことが多くあります。金のない人は決断や線引きを経験で身につけていく、と読まれることもありますが、欠点ではありません。日干によっては金が多いほうがかえって重荷です。
日干が金の人
日干が庚(かのえ)か辛(かのと)なら、日干の五行は金です。庚は陽の金、打たれる前の鉄や大きな刃物のイメージで、率直で動きが早く、正しいと思えば相手が上司でも言う。そのぶん角が立つこともあります。辛は陰の金、磨かれた宝石のイメージで、美意識が高く、自分の基準を静かに守ります。人前では涼しい顔でも、傷ついたことは長く覚えている繊細さがあるとされます。庚は鍛えて光り、辛は磨いて光る、と言い分けられます。
よくある質問
金がない命式はお金に縁がない?
五行の金は金属や、秋の引き締まる力を表すもので、お金の多い少ないとは別の概念です。四柱推命で財を表すのは日干が剋す五行(通変星の偏財・正財)で、日干によってそれが木にも土にもなります。金がないというのは天干と地支の本気に庚・辛・申・酉が出ていないという意味で、巳・丑・戌の蔵干には金が含まれます。
さる年・とり年は金の性格?
申と酉は金の地支なので、年の支は金です。ただ、年の干支(えと)が表すのは年柱一本で、性格を読むときに中心になるのは日干です。とり年生まれでも日干は甲(きのえ)で木、という組み合わせはいくらでもあり、金の量も命式ごとに違います。白い色や名前で金を足すという民間の考え方もありますが、この診断では扱いません。
木春の雨を受けて、上へ横へと伸びていく若木
火夏の真昼の日差し。強く燃えて、遠くまで照らす
土種を育て、重みを受け止める大地
金秋の澄んだ空気と、研ぎ澄まされた刃
水冬の深い淵。低いほうへ流れ、どこへでも入りこむ
陰陽五行と四柱推命は伝統文化として楽しむためのもので、将来の出来事を予言するものではありません。健康・お金・法律に関わることは、それぞれの専門家に相談してください。