アーキタイプとは?ユングの元型と、ネットの12種の違い
Type of You編集部約16分で読めます

この記事のポイント
- ユングの元型は普遍的なイメージと行動のパターンで、ユング自身は閉じた一覧を固定せず、元型の数は人生の典型的な状況と同じだけあると書いています。
- 12のアーキタイプは、ピアソン(1991年)がユングとキャンベルの考えを土台に整理した体系で、2001年にブランドの分野へ入りました。
- ユングがもっとも詳しく描いたのはペルソナ、影、アニマ/アニムス、自己で、いずれも全集(Collected Works)に出典があります。
- 12のアーキタイプの名称は版によって違い(ピアソン、ブランド版、PMAI)、本サイトの診断はブランド版(2001年)の名称に対応させています。
- 原型は内省のための道具で、ビッグファイブのように検証された類型論ではありません。主原型はラベルより問いとして使うほうが役に立ちます。
アーキタイプとは、人類が種として共有する普遍的なイメージと行動の型を指す概念(ユングの元型)で、ユング自身は12のアーキタイプという閉じた一覧を残していません。ネットで広まっている「12のアーキタイプ」は、のちに著者のCarol S. Pearson(キャロル・S・ピアソン)がユングらの発想をもとに整理した体系です。両者は共存できますが、同じものではありません。「私は反逆者タイプ」「あなた、完全に援助者だよね」と言うとき、この違いが効いてきます。
元型とは何か:ユングは12のアーキタイプの一覧を作っていない
ユングの元型とは、受け継がれてきたイメージと行動の型のことで、中身ではなく形式にあたり、ユングは閉じた一覧を固定したことがありません。

ユングがこの語で捉えようとしたのは、文化が大きく違っても神話や夢、物語に繰り返し現れるモチーフです。守ってくれる母、賢い老人、いたずら者(トリックスター)、再生などがその例にあたります。遺伝するのは形式、つまり経験を決まった仕方でまとめようとする傾向で、中身は文化と一人ひとりが埋めていく、というのが彼の考えでした。英語版全集(Collected Works、略してCW)第9巻(第1部)の論文では、ラテン語の facultas praeformandi(あらかじめ形づくる可能性)という表現を使っています。
数については、ユング自身がはっきり書いています。集合的無意識の概念を論じた1936年の論文に、元型の数は人生の典型的な状況と同じだけある、という趣旨の一文があります(英語版からの試訳)。これに従うなら、十二個だけの一覧は、もとの考え方と合いません。
ブリタニカ百科事典は、ユングの元型を、行動やイメージに現れる本能的で普遍的なパターンと説明し、元型と結びつけた集合的無意識の概念を「議論の多い」ものと位置づけています。「ユング 元型」「ユング アーキタイプ」「アーキタイプ 診断」といった検索語の裏には、同じ好奇心があります。何かの像のなかに自分を見つけたい、という気持ちです。違いは、その像の出どころだけです。「元型」は「原型」と書かれることもあります。
ユングが実際に描いた元型:ペルソナ、影、アニマ/アニムス、自己
ユングがもっとも詳しく描いたのは、心の構造にあたるペルソナ、影(シャドウ)、アニマ/アニムス、自己(セルフ)で、これらは一覧表のキャラクターのようには働きません。

この4つは「ユングの基本元型」と紹介されることがあります。便利な言い方ですが、ユング自身がこの言葉を使った記録は、今のところ見つかっていません。『アイオーン』(Aion、1951年、CW 9第2部)は冒頭の章で自我、影、syzygy(アニマとアニムスの対を指すユングの語)、自己を扱い、第13段落で、影、アニマ、アニムスが経験のうえでもっとも明確に特徴づけられた元型だと述べています。ペルソナは別の著作に出てきます。たとえば『Two Essays on Analytical Psychology』(CW 7)です。
ユングにとっての影は、本人が知らず、受け入れてもいない自分を収めたもので、中身は人によって違います(『アイオーン』第II章)。12のアーキタイプの一覧に出てくる役ではありません。診断結果に出てくる「影」と同じ名前ですが、本稿がそちらで使うのは別の意味です。
| ユングの概念 | 出典 | 12のアーキタイプとの関係 |
|---|---|---|
| ペルソナ | CW 7, §§243-246; CW 9i, §221 | 直接の対応なし。語源は古代劇の仮面で、外に見せる社会的な顔 |
| 影(シャドウ) | 『アイオーン』第II章 §§13-19 | 各原型の「影」と同名だが、別の概念 |
| アニマ/アニムス | 『アイオーン』第III章 §§20-42; CW 7(第二部) | 直接の対応なし |
| 自己(セルフ) | 『アイオーン』第IV章 | 直接の対応なし |
| 母 | CW 9i所収の母元型の論文 | Blandinによれば、援助者はその現れの一つ |
| 子どもと乙女(Kore) | CW 9i所収の子ども(1940)と乙女(1941)の論文 | 12のどれにも対応しない |
| 老賢者 | 『アイオーン』§42; CW 9i所収の童話の論文 | 賢者とは遠い類似があるだけ |
| トリックスター | CW 9i所収のトリックスター論(1954) | 診断の道化師とは別物 |
通俗的な解説には、道化師とトリックスターを同じものとして扱う混同がよくあります。ユングのトリックスターは両義的な神話上の像で、1954年にはそのためだけの論文を書きました。12のアーキタイプの道化師が描くのは動機のほうで、今この瞬間を楽しみ、場を少し軽くしたいという気持ちです。神話の登場人物と同一ではありません。
12のアーキタイプを整理したのは誰か:ピアソンからブランドへ(診断に「ユング」とつく理由)
12のアーキタイプは、ピアソンの体系です。『Awakening the Heroes Within』(1991年)で発表され、『The Hero Within』(1986年)の6つの原型を12に広げたものでした。
ピアソンは自身の公式サイトで、まず前者で6つの原型を描き、のちに後者で12に広げたと述べています。自分の仕事は、ユング(C. G. Jung)、ジェイムズ・ヒルマン、ジョーゼフ・キャンベル、エリク・エリクソンの考えを更新したものだ、という位置づけです。こうした系譜があるので「ユング派の」と呼ぶのはまだ通りますが、ユングのものだとは言えません。

StorywellのKesstan Blandinによれば、ピアソンの体系はユングの元型理論と、キャンベルの英雄の旅の理論の上に成り立っています。後者はユングの神話研究に由来します。似た登場人物の原型を述べた著者はそれ以前にもいましたが、十二個を一つの体系にまとめたのがピアソンでした。12のアーキタイプはユングから直接出たと思われがちでも、実際にはピアソンが登場人物を体系化したものだ、とBlandinは書いています。BlandinはCAPTとMyers & Briggs Foundationに連なる立場で、この2団体はPMAI(Pearson-Marr Archetype Indicator)を発行しています。記事を引くときは、その点を添える必要があります。
2021年12月、ピアソンはブログ記事でStorywellの記事の抜粋を再掲しました。広く知られた12のアーキタイプは1980年代からの自分のオリジナルの仕事から生まれたのに、その功績は普通、自分のものとして語られない、という内容です。
日本語では、ピアソンの1991年の著作が『英雄の旅 ヒーローズ・ジャーニー』(実務教育出版、2013年、鏡リュウジ監訳)、Mark & Pearsonの2001年の著作が『ブランド・アーキタイプ戦略』(実務教育出版、2020年、千葉敏生訳)として出ています。
| 年 | 著作 | 著者 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1921 | 『心理学的類型』(CW 6) | ユング | 態度と機能の類型論(ドイツ語原著) |
| 1934-1954 | CW 9第1部の論文 | ユング | 母、子ども、精神、トリックスターなどのモチーフ |
| 1951 | 『アイオーン』(CW 9第2部) | ユング | 自我、影、syzygy、自己(ドイツ語原著) |
| 1986 | 1986年の著作(6つの原型) | ピアソン | 6つの原型 |
| 1989と1998 | 1986年の著作の拡張版と第3版 | ピアソン | 同じ本の後続版 |
| 1991 | 1991年の著作(12の原型) | ピアソン | 12の原型 |
| 1995 | 博士論文(支配的な英雄的原型の測定を扱う) | マー | のちのPMAIの元になる検査を開発。ピアソンは審査委員 |
| 2001 | 『The Hero and the Outlaw』 | マークとピアソン | ブランドへの応用 |
| 2001 | PMAIの取得 | CAPT社 | 検査を取得し、信頼性と妥当性を追加で研究 |
| 2020 | PMAIの名称変更 | PMAIチーム | OrphanはRealist、InnocentはIdealist、DestroyerはRevolutionaryに |
各版に見る12のアーキタイプの名称:無垢な人、探検家、賢者、英雄……
同じ12のアーキタイプでも名称は版によって変わり、この名称の混在が、どのページも別々の一覧について語っているように見える理由です。
ブランド版(2001年)の名称はHero、Outlaw、Regular Guy/Galといったもので、ピアソンが1991年に使った名称、PMAIが2020年から使っている名称とは、それぞれ異なります。日本語のウェブで同じ原型に違う呼び名が並ぶのも、この動きが背景にあります。
| 診断での名称 | ブランド版(2001年) | ピアソンの名称(1991年) | PMAI 2020年から |
|---|---|---|---|
| 無垢な人 | Innocent | Innocent | Idealist |
| 仲間 | Regular Guy/Gal (Everyman) | Orphan | Realist |
| 英雄 | Hero | Warrior | Warrior |
| 援助者 | Caregiver | Caregiver | Caregiver |
| 探検家 | Explorer | Seeker | Seeker |
| 恋人 | Lover | Lover | Lover |
| 反逆者 | Outlaw | Destroyer | Revolutionary |
| 創造者 | Creator | Creator | Creator |
| 統治者 | Ruler | Ruler | Ruler |
| 魔術師 | Magician | Magician | Magician |
| 賢者 | Sage | Sage | Sage |
| 道化師 | Jester | Fool (Jester) | Jester |
1991年の名称はStorywellによるもので、同ページは本に出てくる12の原型を挙げ、のちの名称を括弧に示しています。PMAIの列は、2020年の呼び直しを示します。
「仲間」は、診断がブランド版のRegular Guy/Everymanに当てた名称です。日本語の資料でもこの位置の呼び方は割れていて、一覧どうしの食い違いがもっとも出やすい場所です。
| 診断での名称 | 日本語での他の呼び方 | 説明 |
|---|---|---|
| 仲間 | ありふれた男女、孤児、普通の人、庶民 | 呼び方がもっとも割れている位置 |
| 無垢な人 | 幼子、純真 | 「幼子」は邦訳書の訳語 |
| 英雄 | 戦士 | 「戦士」はピアソンの名称に対応 |
| 探検家 | 探求者 | どちらも自分の道を探す人を指す |
| 反逆者 | 無法者、破壊者 | 「破壊者」はピアソンの原名 |
| 統治者 | 支配者 | 同義語として使われやすい |
| 援助者 | 世話人、庇護者 | 同義語として使われやすい |
| 道化師 | 道化 | トリックスターとは別物 |
邦訳書の訳語は2冊で少し違います。「幼子」は2冊に共通で、「ありふれた男女」「無法者」は『ブランド・アーキタイプ戦略』、「孤児」「戦士」「探求者」「破壊者」「求愛者」「道化」は『英雄の旅』の訳語です。診断の名称のうち、無垢な人、反逆者、仲間の3つは、『ブランド・アーキタイプ戦略』の目次の訳語(幼子、無法者、ありふれた男女)と異なります。「純真」「普通の人」「庶民」「支配者」「世話人」「庇護者」はウェブの解説で見かける呼び方で、公式の訳語ではありません。「破壊者」(Destroyer)は原名で、PMAIは原名が消極的な状態を連想させるとしてRevolutionaryに改めました。PMAI版の名称(Idealist、Realist、Revolutionaryなど)は、公式の日本語名を確認できなかったため、英語のままにしています。
恋人、魔術師、賢者、創造者は、各所の呼び方の差が小さい部類です。ただ、恋人は『英雄の旅』で「求愛者」、ウェブでは「愛する人」と書かれることがあります。
主原型の読み方:4つの方向、上位3つ、そしてアーキタイプ診断
アーキタイプ診断の結果はラベルではなく、主原型、それに続く2つの原型、ほかより目立つ一つの方向からなる輪郭です。
Type of Youの「ユング12アーキタイプ診断」は30問です。18問は4つの選択肢から選ぶ場面設問、12問は5段階で答える文章設問で、12の原型に1問ずつ割り当てています。12の原型はそれぞれ0から100の点数になり、いちばん高いものが主原型、診断は第2と第3の原型も示します。レポートには、才能と影、仕事や恋愛での表れ方、相性のいい原型、3つの小さな練習も載っています。
診断は12の原型を4つの方向に分け、各方向に3つの原型が入ります。
| 根底にある方向 | 含まれる原型 |
|---|---|
| 自由 | 無垢な人、探検家、賢者 |
| 変革 | 英雄、反逆者、魔術師 |
| つながり | 仲間、恋人、道化師 |
| 秩序 | 援助者、統治者、創造者 |
この、4グループに各3つという分け方は、Mark & Pearson(2001)が動機に基づいて行ったグループ分けとメンバーが一致しています。診断が各グループに独自の名前を付けただけです。このことは、同書の構成を再現した学術論文(Xara-Brasil、Miadaira Hamza、Marquina、2018年)から分かったもので、同書そのものからではありません。
診断の読み方では、「自由」の方向で、無垢な人は物事がうまくいくと信じ、探検家は道を見つけるために自分だけの余白を必要とし、賢者は仕組みが分かったときにいちばん落ち着きます。「変革」の方向では、英雄は挑戦で自分を測り、反逆者はもう機能しなくなったものを問い直し、魔術師はある状況を別の状況へ変える道筋が見えます。
「つながり」の方向では、仲間は特別に演じなくてもその場に属していたいと思い、恋人は親密さと強さを求め、道化師はユーモアで緊張をほぐします。「秩序」の方向では、援助者は必要なものが誰かに欠けていないかに目を配り、統治者は資源とルールを整え、創造者は想像したものを具体的なかたちにします。
これらは傾向で、一つの原型だけに属する人はいません。1位と2位の点数が数点しか違わないときは、輪郭は型というより混ざり合いに近くなります。

方向の読み方はもう一つあります(これは本稿の読み方で、診断のルールではありません)。主原型がどのグループに属するかを見るやり方で、たとえば主原型が援助者なら「秩序」、探検家なら「自由」です。第2と第3の原型が別のグループに入っていれば、輪郭はいくつかの方向に散らばっていることになります。
ある原型の点数が高くても、ほかの原型が消えるわけではなく、回答のなかでどれがいちばん強く出たかが分かるだけです。主原型が同じ二人でも、第2と第3の原型は大きく違うことがあり、そのぶん輪郭が具体的になります。あとからもう一度受けて順位が入れ替わっても、何かがおかしいとは限りません。結果が映すのはそのときの回答で、原型が映すのは、そのときの動き方です。
診断は、相性のいい原型も示します。無垢な人は援助者、探検家は道化師、賢者は統治者、英雄は魔術師、反逆者は創造者、仲間は恋人です。これは診断の提案で、研究で見つかった事実ではありません。こうした結果の読み方は、ユング12アーキタイプ診断でも同じ枠組みです。
原型の日常場面:LINEグループ、忘年会、そして影
本稿でいう原型の「影」とは、強みを使いすぎたり、場面に合わないところで使ったりしたときに起きることで、欠点のことではありません。
同じ原型が、職場では助けになるのに、実家の食卓では邪魔になることがあります。ある結果のなかに自分を見つけたのに、翌日には別の場面で違う動き方をしている、ということもあります。結果とは矛盾しません。同じ人でも、場面によって目立つ原型は変わります。

PMAIの著者によれば、原型は状況、個人の成長、周囲の環境、成熟度によって、一人の輪郭のなかで上下します。そこで原型を具体的な場面に置いて読みます。4つの場面は編集部が書いたもので、忘年会、プロジェクト会議、週末の実家の集まり、給料日と、日常によくある状況から取りました。実在の人物の事例でも、研究の結果でもありません。ある瞬間の動き方を読む練習のための例で、誰かに貼るラベルではありません。
原型は動き方の例で、誰かを診断するものではありません。同じ場面を、いくつもの原型から同時に読むこともできます。
| 場面 | 出やすい強み | 使いすぎたとき | 自分への問い |
|---|---|---|---|
| LINEグループで、忘年会の日程に既読だけが並び、決まらない | 幹事役を引き受ける(統治者)、冗談にする(道化師)、苦手な食べ物を聞いて回る(援助者) | 何でも自分で段取りして、誰も手伝ってくれないと感じる。冗談で真面目な話を避ける | このグループに必要なのに、頼めていないことは何か? |
| プロジェクトが何週間も止まり、会議だけが長くなる | 調べて根拠を集める(賢者)、別のやり方を出す(反逆者か魔術師)、一人で背負う(英雄) | 調べ続けて決めない。反対が癖になる。助けを求めず、倒れるまで抱える | 次の15分でできる一歩は何か? |
| 週末の実家の集まりで、叔母が自分の決めたことに口を出す | 穏やかに収めたい(仲間か無垢な人)、自分の道を行きたい(探検家) | 何でも「そうだね」と言う。黙り込んで、不満をため込む | ここで言いたいことを、一文にするとどうなるか? |
| 給料日の直後に、親戚からお金を貸してほしいと頼まれる | 力になりたい(援助者)、きちんと計算したい(統治者) | 「ノー」と言えない。家族をプロジェクトのように管理する | 自分をないがしろにせず、出せるものは何か? |
ユングの影は、また別のものです。本人が知らず、受け入れてもいない自分を収めたものだからです(『アイオーン』第II章)。本稿は「原型の影」を、強みが誇張された姿を指す言葉として使っています。同じ名前で、「不快なものも自分についての手がかりを含んでいる」という考えも共有していますが、別の概念です。ユングが12個の影を描いたこともありません。
場面が描くのは、人が場面ごとにどう動きがちか、という例です。援助者の点数が高く、「ノー」を言うのも苦手な人がいても、性格の問題とは限りません。強みがその場面で、その人に代償を払わせているということです。
科学的にはどこまで言えるか:原型、ビッグファイブ、ユングの「8つのタイプ」
原型は内省と物語的な読みのための道具で、ビッグファイブのように検証された類型論ではありません。
| 出典 | 発見または主張 | 限界 |
|---|---|---|
| Faber & Mayer(2009) | 大学生125人で、原型キャラへの共鳴が、ビッグファイブ以上にメディアの好みを予測。人生テーマとも中程度の相関 | 小さなサンプル。別の一覧(13の原型)と独自の尺度で、12のアーキタイプの検証ではない |
| ユング(1934年から1954年の論文) | 原型は遺伝的なイメージと行動の形式で、閉じた一覧はないと主張 | 理論上の主張で、実証研究ではない |
| Neher(1996) | 原型が祖先や普遍的な本質を映すという考えには重大な欠陥があると批判。遺伝的基盤の説には見込みもあるとした | 批判的な論評で、実験ではない |
| PMAIマニュアル(2021) | 著者は72項目、約5,000人、12尺度のうち10尺度がはっきりまとまったと報告。人の分類のための設計ではないとも述べる | 著者自身の証拠で、便宜的サンプル。独立した検証の発表は見当たらない |
| Type of Youの診断 | 30問の自己理解ツール | 心理評価ではなく、妥当性の研究も見つかっていない |
| McCrae & Costa(1989) | 468人の成人で、MBTIの4指標はビッグファイブの4次元の一部の側面を測っており、質的に異なるタイプは支持されない | 扱うのはMBTI(ユング由来の類型論に基づく性格検査)で、原型ではない |
もっとも近い研究はFaber & Mayerのものですが、慎重に読んでいます。サンプルは学生125人で、使われた原型の一覧も別のものだからです。PMAIについて現時点で手にできる証拠は、作成者が書いたマニュアルです。Type of Youのような12のアーキタイプの診断については、妥当性の研究を見つけられませんでした。そのため自己理解のツールとして位置づけています。
ユングの「8つのタイプ」は、また別の話です。『心理学的類型』(Psychological Types、1921年)で、外向と内向という2つの態度に、思考・感情・感覚・直観の4つの機能を組み合わせ、少なくとも8つの区別できるタイプを描きました。世界にどう向かうかについての理論で、神話的な像は出てきません。内向と外向(I/E)の記事では、この2つの態度の整理を扱っています。16タイプの性格分類は、この伝統から発展したものです。
実証的な裏付けがより多い特性の地図なら、ビッグファイブは最も研究されているモデルの一つです。エニアグラムは、また別のタイプ体系です。4つの気質も、古典的な類型の整理として並ぶことがあります。
結果を受け取ったあと、そして助けが必要なとき
原型の結果は、答えとしてより、問いとして使うほうが役に立ち、小さな実験をして何が変わるかを観察するのが向いています。
どれも1週間のうちに試せる小さなものです。
- 言えずにいる一言。 繰り返し出てくる場面(LINEグループ、会議など)を一つ選び、本当に言いたいことを一行で書きます。送ってもかまいませんし、送らなくてもかまいません。この練習では、言葉にすること自体が目的です。
- 第2の原型と過ごす一日。 小さな決定を一つ選び、第2か第3の原型として動いてみます。たとえば主原型が援助者で、第2が探検家なら、週末の予定のなかで自分のために一つだけ要望を出すところから始められます。会話のなかで何が変わるかを観察します。
- 信頼する人の観察。 どんな場面で強みを使いすぎているように見えるか、相手に尋ねます。その答えを、自分の見方と照らし合わせます。
主原型が援助者で、「ノー」と言うのも難しいなら、ピープルプリーザー(人に合わせすぎる傾向)の記事にもう少し詳しい説明があります。結果を仕事に持ち込みたいなら、自分の才能の見つけ方の記事が、具体的な決定に落とし込む助けになります。
原型の診断は評価の代わりにはならず、心の健康の問題に対処するためのものでもありません。ある状況がつらくて耐えがたいとき、たとえば強い不安、消えない落ち込み、自分を傷つけたいという考えがあるときは、心の健康の専門家に相談すると助けになります。
日本では、フリーダイヤルのよりそいホットライン(0120-279-338)に、全国どこからでもかけられます。秘密は守られ、電話のほかチャットやSNSでも相談できます(福島県からは0120-279-226)。いのちの電話は、フリーダイヤル0120-783-556が毎日16:00〜21:00(毎月10日は朝8:00から翌11日朝8:00まで)、ナビダイヤル0570-783-556が10:00〜22:00で年中無休です。ナビダイヤルは、携帯電話などの無料通話サービスの対象外です。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)は、かけた場所の都道府県・政令指定都市の公的な相談窓口につながり、受付の曜日と時間は地域によって違います。こちらは通話料がかかります。
気持ちの落ち込みが眠りや仕事、人間関係に長く影響しているときは、ひどくなるのを待たずに、こうした窓口にかけてかまいません。
診断してみる
よくある質問
アーキタイプとは何ですか?
アーキタイプとは、人類が種として共有する普遍的なイメージと行動の型を指す概念で、ユングの「元型」にあたります。ユング自身は閉じた一覧を残しておらず、ネットで広まっている「12のアーキタイプ」は、のちにCarol S. Pearson(キャロル・S・ピアソン)が整理した体系で、元型そのものとは別です。
ユングの4つの基本元型とは何ですか?
通俗的なページで流通している簡略化した言い方で、ふつうはペルソナ、影、アニマ/アニムス、自己が挙げられます。『アイオーン』(Aion、1951年)には自我、影、syzygy、自己を扱う章があり、ペルソナは別の著作に出てきます。ユングが「4つの基本元型」と言った例も、この4つだけだと述べた例も、本稿では見つけられていません。
ユングの8つの性格タイプとは何ですか?
『Psychological Types』(1921年、邦題『心理学的類型』)に出てくるもので、元型の一覧とは別の理論です。外向・内向という2つの態度に、思考・感情・感覚・直観の4つの機能を組み合わせ、少なくとも8つの区別できるタイプを描きました。よく知られる16タイプの性格分類も、この流れから生まれています。
物語やキャラクター作りで言われる12の原型は、どれを指しますか?
ふつうはCarol S. Pearsonの12のアーキタイプの一覧を指します。診断での名称は、無垢な人、探検家、賢者、英雄、反逆者、魔術師、仲間、恋人、道化師、援助者、統治者、創造者です。執筆やブランドづくりの道具として使われていますが、この一覧をユングが書いたわけではありません。
12のアーキタイプはユングが提唱したものですか?
いいえ。一覧を整理したのはCarol S. Pearsonで、『Awakening the Heroes Within』(1991年)で発表されました。2001年にはMark & Pearsonがブランドの分野に持ち込んでいます。ユングの考えを借りてはいますが、ユング自身は、元型の数は人生の典型的な状況と同じだけあると書き、数を固定したことはありません。
アーキタイプ診断に科学的な根拠はありますか?
内省のための道具で、ビッグファイブのように検証された類型論ではありません。2009年の研究(大学生125人)では、原型キャラクターへの共鳴が、ビッグファイブでは分からないメディアの好みを予測しました。ただし使われたのは別の一覧と別の尺度です。Type of Youの診断は自己理解のためのもので、心理評価ではありません。
参考文献
- The Roots of the Pearson-Marr Archetypes · Storywell (CAPT / Myers & Briggs Foundation), Blandin · 2021 · www.storywell.com
- The Collected Works of C. G. Jung, Volume 9 (Part 1): Archetypes and the Collective Unconscious · Princeton University Press · 1969 · press.princeton.edu
- Collected Works of C. G. Jung, Volume 9 (Part 2): Aion: Researches into the Phenomenology of the Self · Princeton University Press · 1969 · press.princeton.edu
残り18件を表示閉じる
- Awakening the Heroes Within: Twelve Archetypes to Help Us Find Ourselves and Transform Our World · HarperSanFrancisco (Pearson) · 1991 · www.harpercollins.com
- Resonance to archetypes in media: There's some accounting for taste · Journal of Research in Personality, 43, 307-322 (Faber & Mayer) · 2009 · doi.org
- Jung's Theory of Archetypes: A Critique · Journal of Humanistic Psychology, 36, 61-91 (Neher) · 1996 · doi.org
- PMAI Manual · CAPT (Pearson-Marr Archetype Indicator; Blandin, Marr & Pearson) · 2021 · assets.website-files.com
- The Hero and the Outlaw: Building Extraordinary Brands Through the Power of Archetypes · McGraw-Hill (Margaret Mark & Carol S. Pearson) · 2001 · openlibrary.org
- The Pearson 12-Archetype System · carolspearson.com (Carol S. Pearson) · 2026 · carolspearson.com
- Collected Works of C. G. Jung, Volume 6: Psychological Types · Princeton University Press · 1971 · press.princeton.edu
- Volume 6: Psychological Types (Collected Works abstract) · International Association for Analytical Psychology (IAAP) · 2026 · iaap.org
- Reinterpreting the Myers-Briggs Type Indicator from the perspective of the five-factor model of personality · Journal of Personality, 57, 17-40 (McCrae & Costa) · 1989 · doi.org
- Carl Jung · Encyclopaedia Britannica · 2026 · www.britannica.com
- The meaning of a brand? An archetypal approach · Revista de Gestão, 25(2), 142-159 (Xara-Brasil, Miadaira Hamza & Marquina) · 2018 · doi.org
- よりそいホットライン · 一般社団法人 社会的包摂サポートセンター · 2026 · www.since2011.net
- いのちの電話 · 一般社団法人日本いのちの電話連盟 · 2026 · www.inochinodenwa.org
- 電話相談窓口(まもろうよ こころ) · 厚生労働省 · 2026 · www.mhlw.go.jp
- New Article: The Roots of the Pearson-Marr Archetypes (blog post, December 16, 2021) · carolspearson.com (Carol S. Pearson) · 2021 · carolspearson.com
- Pearson & Heroic Archetypal Characters · Storywell (CAPT / Myers & Briggs Foundation) · 2026 · www.storywell.com
- 英雄の旅 ヒーローズ・ジャーニー 12のアーキタイプを知り、人生と世界を変える · 実務教育出版 (キャロル・S・ピアソン 著、鏡リュウジ 監訳、鈴木彩織 訳) · 2013 · books.jitsumu.co.jp
- ブランド・アーキタイプ戦略 驚異的価値を生み出す心理学的アプローチ · 実務教育出版 (マーガレット・マーク、キャロル・S・ピアソン 著、千葉敏生 訳) · 2020 · books.jitsumu.co.jp
あわせて読みたい
総まとめビッグファイブとは?5つの特性 OCEAN とスコアの読み方
ビッグファイブは、開放性・誠実性・外向性・協調性・情緒安定性(神経症傾向)の5つの連続した特性で性格を表すモデルです。MBTIとの違い、特性が予測できること、性格は変わるのか、診断スコアの読み方をまとめました。
総まとめ16タイプ性格とは?4つの文字の読み方、当たる根拠、16タイプ一覧
16タイプ性格は、E/I・S/N・T/F・J/Pの4組の好みを1文字ずつ選んでつくる4文字のコードです。日本の日常の場面で各文字の意味、16タイプ一覧、MBTIとの違い、研究がみる精度、使い方の注意点をまとめます。
総まとめエニアグラムとは?9タイプ・ウイング・センターと信頼性を整理
エニアグラムは、行動の奥にある動機で人を9つのタイプに分ける性格モデルです。1〜9の恐れと望み、ウイング、3つのセンター、ストレスと成長の方向に加え、本当の歴史や研究の評価、正しい使い方までまとめました。
総まとめ顔色をうかがう性格とは?人に合わせすぎる4つの特徴と成り立ち、直し方
顔色をうかがう性格とは、人に合わせすぎて自分を後回しにする、学習された習慣です。診断名ではありません。4つの側面、親切との違い、ファーン反応、断り方の言い換えと練習を、研究にもとづいて整理します。
総まとめ才能とは?自分の才能の見つけ方と、才能診断の選び方
才能とは何か、誰にでもあるのか。練習と生まれつきの割合、CliftonStrengths・VIA・多重知能などの診断が測るもの、自己評価・他者評価・実績記録の3方向から、自分が本当に得意なことを見つける方法まで整理しました。