愛着スタイルとは?4つのタイプの特徴・成因・変え方をやさしく整理

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長い木のベンチの真ん中で、カピバラがマグカップを持ってどっしり座り、その横にスマホを握ったカワウソが寄りそい、反対の端ではヘッドホンをしたウサギが、ほどよい距離をあけて座っている

この記事のポイント

  • 愛着とは、怖いとき、つらいとき、誰に安心を求めるかというクセのことで、ボウルビィが親子関係の研究から提唱しました。
  • 大人の愛着は「愛着不安」と「愛着回避」の2軸で表し、その高低の組み合わせが、安定型・不安型・回避型・混乱型の4タイプになります。
  • 愛着は4つの箱ではなく連続した目盛りです。境目に近い人は、2つのタイプの特徴を両方持っていることが少なくありません。
  • 愛着には中程度の安定性がありますが、動きます。研究では、不安も回避も平均して年齢とともに下がり、パートナーがいる人のほうが低めです。
  • 愛着スタイルは関係のクセであって、パーソナリティ障害ではありません。引き金に気づき、してほしいことを言葉にすることが、安定型に近づく出発点です。

愛着スタイル(attachment style)とは、親密な関係の中で「近づきたい、傷つくのが怖い、必要なときは誰を頼るか」というクセのことです。子どものころの相手は養育者で、大人になるとたいてい恋人や、いちばん近い友人に置き換わります。大人の愛着を心理学で見るときは2つの軸を使います。どれだけ見捨てられるのが怖いか(愛着不安)と、どれだけ人に頼るのが苦手か(愛着回避)です。その高低の組み合わせが、よく聞く4つのタイプ、安定型・不安型・回避型・混乱型です。

愛着スタイルとは?「助けがほしいとき、どうするか」の内蔵プログラム

愛着とは、特定の相手との情緒的なつながりと、怖いとき、悲しいとき、ストレスがあるときに、その人に安心を求めるやり方のことです。

英国の精神科医ジョン・ボウルビィ(John Bowlby)は、1950年代の終わりごろから愛着理論を提唱しました。中心にある考えは、赤ちゃんが泣き、しがみつき、養育者の後を追うのは、近くにいれば守ってもらえるからだ、というものです。生き残るために進化したしくみで、「甘やかされた」からではありません。共同研究者のメアリー・エインズワース(Mary Ainsworth)は、もうひとつの重要な概念「安全基地」(secure base)を加えました。子どもは、養育者がそこにいると確信できるから、安心して世界を探検できます。不安になれば戻って充電します(Bretherton, 1992)。大人になっても同じで、誰かが動かずに待っていてくれると知っているから、安心して少し遠くまで歩いていけます。

緑のスカーフを巻いたカピバラがマグカップを持ってベンチにどっしり座り、数歩先ではカワウソがクッキーのワゴンでおやつを選びながら、振り返ってカピバラを見ている
誰かが動かずにいてくれると知っているから、安心して遠くへ探検に行けます。

ボウルビィはさらに、子どもは「応えてもらえた経験」と「応えてもらえなかった経験」の積み重ねから、「内的作業モデル」(internal working models)をつくると考えました。「自分は愛される価値があるか」「他人は頼れるか」についての前提です。この前提は、その後の関係にも持ち込まれます。1987年にシンディ・ハザン(Cindy Hazan)とフィリップ・シェイヴァー(Phillip Shaver)が、この枠組みを大人の恋愛に当てはめ、恋愛そのものが愛着のプロセスだと主張しました(Hazan & Shaver, 1987)。

日常に置き換えると、こうなります。夜中に熱が出たとき、最初にLINEしたいのは誰でしょう。返信がなければ、3通続けて送るのか、電話をかけるのか、それとも黙って解熱剤を飲み、明日に回すのか。その反射的な動きが、愛着システムの働きです。

愛着理論はどう生まれた?赤ちゃんの実験室から大人の恋愛へ

愛着理論はボウルビィが提唱し、エインズワースが観察研究で検証し、1980年代以降に大人の恋愛へ広がりました。ネットでよく見る「4つの愛着タイプ」は、じつは複数の研究のつぎはぎです。

年代研究者何をしたか対象
1950年代末〜ジョン・ボウルビィ愛着理論の提唱:養育者に近づくのは生まれつきの保護システム乳幼児
1978メアリー・エインズワースら「ストレンジ・シチュエーション」で、安定・回避・不安(アンビバレント)の3型に分類1歳前後の乳児
1986/1990メアリー・メインとジュディス・ソロモン第4のタイプ「無秩序・混乱型」を追加乳児
1987ハザンとシェイヴァー3型を大人の恋愛に当てはめ、自己記入式の質問紙で測定大人
1991バーソロミューとホロウィッツ「自分をどう見るか × 他人をどう見るか」で大人の4分類を提唱若い成人
1998ブレナン、クラーク、シェイヴァー多くの尺度を統合し、不安と回避の2つの次元を導き出した大人

「ストレンジ・シチュエーション」(Strange Situation)は、エインズワースが設計した実験室での観察です。おもちゃのある見慣れない部屋で、養育者が2回部屋を出ます。1回目は子どもを見知らぬ人といっしょに残し、2回目は子どもを一人にして、その後に戻ってきます。研究者がいちばん注目するのは「再会の瞬間」に子どもがどうするかです。養育者にまっすぐ近づき、なだめられるとすぐ遊びに戻る子は安定型。おもちゃに注意を向けて養育者を避ける子は回避型。甘えているのに怒っていて、なだめてもなかなか落ち着かず、遊びにも戻れない子は不安(アンビバレント)型と分類されます(Ainsworth et al., 1978)。のちにメインとソロモンは、この3つに入らない反応に気づきました。たとえば、養育者に近づきながら怖がる様子を見せる、戻ってきたときに突然固まる、といった反応です。そこで第4のタイプ「混乱型」が加わりました(Duschinsky, 2018)。この反応は一般的な中流家庭の乳児で約15%、虐待などのリスクが高い集団ではその2〜3倍になることがあるとされます(van IJzendoorn et al., 1999)。

愛着スタイルの見分け方の要:不安 × 回避の2つの軸

大人の愛着をとらえるいちばん一般的な方法は、「愛着不安」と「愛着回避」の2つの軸のどこに位置するかを見ることです。4つの愛着タイプは、この地図の4つの角にすぎません。

  • 愛着不安(attachment anxiety):拒絶されること、見捨てられることを心配し、「愛されている」と確かめるための相手の反応をとても必要とします。
  • 愛着回避(attachment avoidance):親密さや頼ることに居心地の悪さを感じ、何でも自分でやり、人とのあいだに安全な距離を置こうとします。
愛着スタイルの2軸マップ横軸は回避(親密さへの居心地の悪さ)、縦軸は不安(見捨てられることへの心配)。2つの軸の高低の組み合わせで、4つの愛着傾向に分かれます、不安型:そばにいたい、置いていかれるのがこわい、混乱型/恐れ・回避型:近づきたいのに、傷つくのがこわい、安定型:近づくことも、ひとりでいることもできる、回避型/拒絶型:自立を大切にし、親密になると引きたくなる不安型そばにいたい、置いていかれるのがこわい混乱型恐れ・回避型近づきたいのに、傷つくのがこわい安定型近づくことも、ひとりでいることもできる回避型拒絶型自立を大切にし、親密になると引きたくなる低高回避(親密さへの居心地の悪さ) →低高不安(見捨てられることへの心配) →
愛着は白黒はっきり分かれる分類ではなく、連続した傾向です。多くの人はどこかの領域の近くにいて、関係や時間とともに移り変わることもあります。

ブレナン、クラーク、シェイヴァー(1998)は、当時あった大人の愛着尺度の60の下位尺度、計323項目をまとめて分析し、ほとんど無相関な2つの要因を取り出しました。それがまさに不安と回避です。さらに2つの得点で対象者を4群に分けると、その4群の姿も、バーソロミューの4分類とよく一致しました(Brennan et al., 1998)。バーソロミューが当時使ったのは、別の言い方で、「自分をどう見るか」と「他人をどう見るか」です。これは大まかに、不安の軸(自分への自信のなさ)と回避の軸(他人への不信)に対応します(Bartholomew & Horowitz, 1991)。

同じマスでも、研究やネットの記事によって名前が何通りもあります。次の対照表は保存しておくと便利です。

当サイトの診断不安/回避大人の4分類よくある別名
安定型低/低安定型安全型
不安型高/低とらわれ型不安型愛着、不安・アンビバレント型
回避型低/高拒絶型拒絶・回避型
恐れ・回避型高/高恐れ型混乱型、恐れ回避型

表の「大人の4分類」はバーソロミューとホロウィッツ(1991)に由来し、英語の原名は順に secure、preoccupied、dismissing、fearful です。英語の文献でこの4語を見かけたら、対照表のどの行かに置き換えられます。

乳児期にさかのぼると、4つのマスは大まかに、安定型、不安(アンビバレント)型、回避型、混乱型に対応します。ただしこれは概念上の対応です。乳児期のタイプは観察した行動、大人のタイプは自己評価の得点なので、そのまま等号では結べません。

2軸モデルからは、実用的な注意が2つ出てきます。第一に、愛着は連続した目盛りで、箱ではありません。Fraley ら(2015)は、大人の愛着が「タイプ」なのか「連続した次元」なのかを、分類の統計手法で調べ、後者を支持しました。だから「あなたは不安型」というより「不安の得点が高め」のほうが正確で、境目付近の人は、2つのタイプの特徴が両方出ることも珍しくありません。第二に、2つの軸は互いに独立しています。不安が高いから回避が低い、というわけではなく、両方高ければ混乱型のマスに入ります。

2つの軸は、感情の処理のしかたの違いにも対応します。不安が高めの人は、脅威を前にすると愛着システムが「過剰に作動」しやすく、警報が大きくなって、相手をいっそう強くつかもうとします。回避が高めの人は逆に「切る」方向に向かい、距離をとり、感情を押さえ、注意を別のことに移します(Mikulincer & Shaver, 2019)。

当サイトの愛着スタイル診断は、この考え方に沿って作られています。14の場面の質問で不安と回避の2つの得点を別々に足し、2軸の境目に応じて4つのマスのどれかに位置づけます。結果ページには、2軸それぞれの得点も表示されるので、境目からどのくらい離れているかも見られます。

4つの愛着タイプの特徴:安定型・不安型・回避型・混乱型

4つの愛着タイプの違いは、愛の量ではなく、不安が出たときに、それぞれどんな方法で安心へ戻ろうとするかにあります。

タイプ心の中の前提不安なときの反射パートナーが感じること
安定型自分は愛される、相手も頼れる口に出す、一緒に対処する安定していて話しやすい
不安型私では足りない、相手は離れるかも確認、また確認必要とされる。でも追われる
回避型自分でできる、人に頼るのは危ない引く、ひとりで処理する頼れるが、中に入れない
混乱型愛されたい。でも愛は傷つけそう熱くなったり冷たくなったりつかみどころがなくて疲れる

表の3列目の「反射」は、同じ場面に置くとわかりやすくなります。スマホが一回震えたとします。安定型はちらっと見て、あとで返しても大丈夫と知っているので、手元の温かい飲み物を飲み続けます。不安型は両手でスマホを握り、すぐに相手が何と言ったかを知りたくなります。回避型はスマホをポケットにしまい、ついでにイヤホンを整えます。混乱型は手を伸ばし、そっと引っこめます。4つの反応に正解も間違いもなく、それぞれがいちばん慣れた「安心へ戻る道」を選んでいるだけです。

カピバラとカワウソが同じ木のベンチに並んで座り、スマホが同時に震える。カピバラはちらっと見てお茶を飲み続け、カワウソは両手でスマホをぎゅっと握って緊張している
同じ通知音でも、安定型はちらっと見てお茶を続け、不安型はスマホを握りしめます。

安定型(どっしり大樹):不安が低く、回避も低い

安定型の人は、不安にならないわけではなく、不安が来たときに、比較的まっすぐ口に出せます。相手が残業で返信を忘れても「忙しいのかな」と考え、夜に一言聞いて終わり。ケンカのときは「10分だけ頭を冷やそう」と言い、本当に10分後に戻ってきます。盲点は、「安定している側」に慣れすぎて、自分の落ち込みを自分で飲み込みがちなことです。不安や回避が高めのパートナーには、その落ち着きが「気にしてくれない」と読まれてしまうこともあります。安定型がストレス下で実際にどう動くか、後から安定型になれるかは、安定型愛着とは?特徴・成因・後天的に安定型に近づく方法で扱っています。

不安型(既読チェック探偵):不安が高く、回避が低い

不安型の人は親密さを強く求め、関係のかすかな温度変化にとても敏感です。相手の口調が少し淡くなった、ストーリーズは見ているのに自分には返信がない、そんなとき、頭の中の小劇場がすぐに開演します。この敏感さのおかげで、問題に人より早く気づき、関係への熱量も高くなります。つらいのは、自分の価値を相手の返信の速さに預けてしまいやすく、確認を繰り返し、ときには「わざと冷たくして」相手を試し、かえって遠ざけてしまうことです。不安型の引き金と落ち着き方は、不安型愛着スタイルとは?既読が気になる理由と落ち着くための10分ルールで詳しく見られます。

回避型(ひとり島のオーナー):不安が低く、回避が高い

回避型の人(拒絶型と呼ばれることも)は、自分のことを自分で世話でき、幸せを誰かに丸投げしません。ただし関係がある距離まで近づくと、自動的に跳ね橋が上がります。「私たちって何?」と聞かれると話題をそらし、ケンカのあとはそのまま姿を消し、落ち込んでいても「大丈夫」と言います。愛していないわけではなく、「人に頼る」ことが、これまでの経験ではあまり安全ではなかった、というほうが近いのです。冷却期間の決め方や接し方は、回避型愛着とは?特徴・成因・冷却期間・接し方にまとめています。

混乱型(寄っては逃げる猫):不安が高く、回避も高い

混乱型(大人の研究では「恐れ型」と呼ばれることが多いタイプ)は、不安も回避も高い組み合わせです。愛されたいのに、近づいたら傷つくのが怖い。相手が熱心だと引きたくなり、相手が引くと慌ててしまい、自分でも「私はどうしたいの?」とわからなくなります。このパターンは、過去に「親密さと傷つくことが同時に起きた」経験と関係することが多いものの、全員に目立つトラウマがあるわけでも、病気というわけでもありません。混乱型にとっての第一歩は、いきなり相手を信じようと自分を追い込むことではありません。ゆっくり試せる安定した関係を見つけ、必要ならカウンセラーと一緒に整理することです。「近づきたいのに逃げたい」という引っぱり合いがどう生まれ、どうほどけていくかは、恐れ回避型愛着とは?近づきたいのに逃げたくなる理由と接し方で扱っています。

日本の恋愛の場面で見る:既読、冷戦、実家への挨拶、遠距離

同じ小さな出来事でも、4つの愛着タイプは、まったく違う台本で読みます。多くのカップルが「大きなケンカはしていないのに、なぜか疲れる」のは、そのせいです。

不安型と回避型:

場面不安型回避型
LINEが既読で2時間何か言っちゃった?ちょうどいい
ケンカ後の冷戦追いかけて話しきりたいまず消えてから考える
実家への挨拶家族に嫌がられそうで怖い先延ばしにしたい
遠距離恋愛ビデオ通話がないと不安ちょうどいい距離
「ひとりの時間がほしい」もう好きじゃないの?ありがたい

安定型と混乱型:

場面安定型混乱型
LINEが既読で2時間忙しいんだろうな送りたいけど送れない
ケンカ後の冷戦時間を決めて話す仲直りしたい、でも逃げたい
実家への挨拶緊張するけど楽しみ承諾したあとで後悔
遠距離恋愛ビデオ通話の時間を決めるくっついたり冷めたり
「ひとりの時間がほしい」わかった、いつ会う?ほっとして、でも焦る

この2つの表は目安です。急いで自分をどれかに当てはめなくて構いません。相手が「大げさ」あるいは「冷たい」と感じたとき、相手は自分の愛着の台本で、同じ出来事を読んでいるだけかもしれません。

不安―回避の罠:いちばん引き合うふたりが、いちばん疲れるのはなぜ?

不安型と回避型は、よく一緒になり、よく「一方が追い、一方が引く」循環にはまります。不安な側は不安になるほど確認したくなり、回避の側は追われるほど距離をとりたくなります。そして相手が引くのを見て、不安な側は「やっぱり離れていくんだ」と確信します。冷戦でいちばんよくある光景は、片方がスマホを握って話を終わらせたがり、もう片方はヘッドホンをして窓の外を見ている場面です。

カワウソとウサギが同じソファの両端に座り、真ん中のクッションが大きくあいている。ウサギはヘッドホンをして窓の外を見ており、カワウソはスマホを握って口を開こうとしている
片方は話を終えたい、片方はヘッドホンに逃げる。追うほど、引きます。

研究にも似た組み合わせの傾向が見えます。Kirkpatrick と Davis(1994)は、交際中の異性カップル354組を追いました。サンプルには、不安型どうし、回避型どうしの組み合わせはありませんでした。一方で、回避型の男性か不安型の女性がいる関係は、はじめは双方の評価が低めなのに、3年後は意外なほど安定していました。ただし1990年代の米国の研究なので、性別の結果が今の日本にそのまま当てはまるとは限りません。持ち帰れる結論は、居心地の悪い関係は自然に終わるとは限らず、ずっと引っかかったままのこともある、ということです。

この循環をほどく方法は、双方が一歩ずつ譲ることです。不安な側は「私のこと、好きなの?」を具体的な頼みごとに替え、回避の側は「消える」を「いつ戻るか言う」に替えます。「こんなに頑張っているのに、伝わらない」とよく感じるふたりは、愛の言語(ラブランゲージ)とは?5つの愛情表現と、研究が言えることもあわせて見てください。愛着は安心感がどこから来るか、愛の言語は、お互いがどんな方法で大切さを表すのに慣れているかの話です。

愛着スタイルはどうやって形づくられる?変わる?

愛着スタイルは、育ちと関係の経験に関わり、中程度の安定性があります。ただし年齢や新しい関係の経験でゆっくり動くもので、一生の宣告ではありません。

成因:養育の経験は出発点。ただし唯一の台本ではない

愛着理論では、養育者の応答が安定していて予測できるかが、子どもが内的作業モデルをつくる出発点になります(Bretherton, 1992)。大人を対象にした研究もこの方向を支持しています。米国の全国代表調査では、子どものころの対人的な逆境が、大人になってからの不安定な愛着と強く関連していました(Mickelson et al., 1997)。

しかし「すべて実家のせい」も正しくありません。乳児期の混乱型でさえ、研究者は、養育者が子どもを怖がらせる行動が大きな役割を果たしうるものの、唯一の原因ではないと述べています(van IJzendoorn et al., 1999)。のちの友情、恋愛、別れ、ちゃんと受け止めてもらえた経験も、この台本を書き換え続けます。

愛着スタイルはどう作られる?書き換えられるループ幼いころにケアされた経験(養育者の反応は安定していて、予測できたか) → 自分と他人への予想(自分は愛される価値がある?人は頼りになる?) → 関係の中での反応のしかた(近づく、何度も確かめる、あるいは距離をとる) → 相手の反応(新しい経験)(受け止められる、無視される、突き放される)、新しい経験が予想を書き換える:→ 自分と他人への予想、予想は固定されたものではありません。その後の友情や恋愛で、しっかり受け止めてもらえた経験のひとつひとつが、このループを少しずつ書き換えていきます。新しい経験が予想を書き換える幼いころにケアされた経験養育者の反応は安定していて、予測できたか自分と他人への予想自分は愛される価値がある?人は頼りになる?関係の中での反応のしかた近づく、何度も確かめる、あるいは距離をとる相手の反応(新しい経験)受け止められる、無視される、突き放される
予想は固定されたものではありません。その後の友情や恋愛で、しっかり受け止めてもらえた経験のひとつひとつが、このループを少しずつ書き換えていきます。

安定度:r = .39 は何を意味する?

Pinquart ら(2013)は127件の研究、2万1千件を超える愛着の評価を統合し、乳児期から成人期の初めまでを追いました。前後2回の測定の平均相関は r = .39で、中程度の安定性です。しかも間隔が長いほど不安定になり、15年以上離れると有意ではなくなります。Fraley(2002)のメタ分析も、人生の最初の19年間の愛着の安全感には中程度の安定性があり、早期の経験の影響は続くものの、すべてではないと示しました。

言い換えると、子どものころの経験は、あなたに跡を残します。ただそれは「初期設定」に近く、書き換えられないプログラムではありません。

どちらへ変わる?:年齢、関係、そして「獲得された安全感」

Chopik ら(2019)は、3つの長期追跡サンプル、計628人を合わせ、13歳から72歳までの変化を推定しました。愛着不安は平均して年齢とともに下がり、中年と高齢で下がり方が大きくなります。愛着回避は、ゆるやかに下がり続けます。パートナーがいる人は、不安も回避も低めです。Arriaga ら(2018)は、2つの軸のゆるみ方は異なると整理しました。不安は「自信が高まる」場面で下がりやすく、回避は「相手に頼って、しかもよい結果になった」経験で下がりやすいのです。

「獲得された安全感」(earned security)は、子ども時代の経験が良くなかったのに、大人になって安定した愛着を築いた人を指します。励みになる考え方ですが、議論もあります。23年の追跡研究では、あとからの回想で「獲得された安全」に分類された人が、子ども時代に特別つらかったとは限りませんでした。一方、乳児期から追跡して、本当に不安定から安定へ向かった人は、大人の親密な関係もうまく築けていました(Roisman et al., 2002)。変化は起こります。ただし、劇的な逆転をイメージしないほうがいいでしょう。

「愛着型の人格」は人格障害ではない:回避性パーソナリティ障害との違い

回避型愛着が指すのは、親密な関係での距離のとり方です。回避性パーソナリティ障害(avoidant personality disorder)は、専門家の評価が要る、生活の多くの面に影響する診断で、両者は同じではありません。

検索結果ではよく並んで出てきますが、中身はだいぶ違います。

比較回避型愛着回避性パーソナリティ障害
何か関係での傾向。一般の人にもよくある精神医学のパーソナリティ障害の診断
中心の感覚人に頼ると落ち着かない。自分でやる自分は足りないと感じ、批判をひどく恐れる
親しさへの態度他人はあまり必要ないと思うことが多いつながりたいが、拒絶が怖くて避ける
影響の範囲おもに親密な関係仕事、人づきあいなど生活の多くの面
どう判断するか自己評価式の質問紙で傾向を見る心理士や精神科医が診断基準で評価

Cleveland Clinic の整理によると、回避性パーソナリティ障害の有病率は、米国で約1.5〜2.5%と推定され、おもに心理療法で対応します。「近づきたいのに、否定されるのが怖い」という姿は、説明としては単純な回避型よりも、2軸がどちらも高いマスに近く見えます。ただし理解を助けるためのたとえで、診断上の対応ではありません。後者が心配なときは、専門家に評価を頼んでください。ネットの診断で自分に診断をつけないでください。当サイトの診断も同じです。

安定型へ近づく:4タイプ別の練習と、助けを求めるタイミング

愛着をより安定させるには、相手を替えるより、不安なときに「推測」と「逃げる」を「はっきり言う」に置き換える練習が役に立ちます。必要なときは専門家の力を借ります。

まず、4タイプ共通の小さな練習です。これから2週間、関係の中で強い不安や逃げたい気持ちが出るたびに、3つを記録します。何が事実として起きたか、頭に自動で浮かんだ解釈、実際に自分がしたこと。何回か積み重なると、自分の引き金の形が見えてきます。これが変化の第一歩です。

赤いスカーフを巻いたトラ猫が窓辺の机で鉛筆をかみながら、開いた白紙のノートを見て考えている。そばには温かいお茶と小さな鉢植えがある
事実・解釈・行動を分けて書くと、引き金が少しずつ見えてきます。

図の猫のように、きれいに書く必要はなく、キーワードだけでも、書き留められれば十分です。何回か記録したら、自分のタイプに合った練習を1つ選びます。方向は研究とも一致しています。不安が高めの人に必要なのは、関係の外でも「自分には価値がある」と感じられること。回避が高めの人に必要なのは、「頼ってみたけど大丈夫だった」という経験の積み重ねです(Arriaga et al., 2018)。2つの軸がどちらも高い混乱型は、両方の経験が役に立ちます。

タイプまず練習したいことそのまま使える一言
不安型連続で送りたくなったら、20分待ってから決める「今日ちょっと不安だから、寝る前におやすみって言ってくれる?」
回避型ひとりになりたいときは、戻る時間を言う「1時間ほど整理したいから、9時に戻ってまた話そう」
混乱型矛盾を、行動ではなく言葉にする「今すごく近づきたいのに、ちょっと逃げたくもある。あなたのせいじゃないよ」
安定型自分が弱っているときも、相手に世話をさせる「今週すごく疲れたから、今日は私に付き合ってくれる?」

専門家に頼ったほうがいいのは? 関係の不安や、熱くなったり冷たくなったりが、睡眠や仕事、人間関係に響き続けているとき、また、過去の経験を思い出すだけでつらいときは、カウンセラーや臨床心理士に話すのが、とてもいい選択です。とてもつらくて、自分を傷つけたい気持ちが出ているときは、よりそいホットライン 0120-279-338(無料)に電話できます。詳しい受付時間は公式サイトで確認してください。いのちの電話(フリーダイヤル 0120-783-556、毎日16:00〜21:00、毎月10日は朝8:00から翌朝8:00まで)もあります。暴力や身の危険があるときは、迷わず110に電話してください。

まず2つの軸のどこにいるかを見たいときは、愛着スタイル診断を試し、結果に応じて安定型、不安型、回避型、恐れ・回避型の記事に進めます。結果は、いまの地図上の座標にすぎません。これからも動いていきます。

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よくある質問

愛着スタイルには、どんな4つのタイプがありますか?

よく使われるのは、安定型、不安型、回避型(拒絶型)、混乱型(恐れ・回避型)です。2つの軸の組み合わせで決まります。愛着不安(どれだけ見捨てられるのが怖いか)と、愛着回避(どれだけ人に頼るのが苦手か)です。両方低いと安定型、不安だけ高いと不安型、回避だけ高いと回避型、両方高いと混乱型で、学術的には恐れ型と呼ばれることが多いです。

愛着とアタッチメントは、どう違いますか?

違いはありません。どちらも英語の attachment の訳語です。日本語の学術・教育の文献では「愛着」が多く、カタカナで「アタッチメント」と書く人もいます。同じように、avoidant には「回避型」と「拒絶型」といった呼び方があります。なお「愛着型の人格」という言い方は正式な人格分類ではなく、あくまで関係の中での傾向を指します。

愛着スタイルは変わりますか?

変わりますが、たいていはゆっくりです。メタ分析では、愛着の安全感には中程度の安定性があり、測定の間隔が空くほど不安定になって、15年以上離れると有意ではなくなりました。長期の追跡研究では、不安も回避も平均して年齢とともに下がり、パートナーがいる人のほうがどちらも低いという結果も出ています。

回避型愛着は、回避性パーソナリティ障害のことですか?

違います。回避型愛着は、おもに親密な関係に現れる、一般の人にもよくある傾向です。回避性パーソナリティ障害は専門家の評価が必要な診断で、中心にあるのは、長く「自分はだめだ」と感じ、批判や拒絶を極端に恐れる状態です。仕事や人づきあいなど、生活のいくつもの場面に影響が出ます。

愛着スタイル診断は、どのくらい当たりますか?

自己評価式のテストは、いまの関係での傾向をある程度映しますが、診断ではありません。最近の関係の状態にも左右され、点数が境目に近いと、2つのタイプの特徴が両方出ることもあります。結果は、自分を観察するきっかけとして使うのがおすすめです。どんな場面で不安になったり逃げたくなったりするか、気にとめてみてください。

不安型と回避型が付き合うと、どうなりますか?

よくあるのは「一方が追い、一方が引く」循環です。不安な側は確認したくなり、回避の側は追われるほど距離をとりたくなります。1994年の、354組のカップルを追った研究では、不安型どうし、回避型どうしのペアはいませんでした。回避型の男性か不安型の女性がいる関係は、双方の評価が低めなのに意外と安定していました。カギは、不安な側が具体的に頼み、回避の側が戻る時間を伝えることです。

参考文献

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診断と記事はセルフチェックのためのもので、医学的な診断や治療に代わるものではありません。つらいときは、専門家やお住まいの地域の相談窓口、よりそいホットライン(0120-279-338、無料)などにご相談ください。

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